Azure認定資格 WEB問題集&徹底解説
AI-901:Microsoft Azure AI Fundamentals
問題文と選択肢
低遅延・低コストで、限られた計算資源の上で推論できることを最優先するとき、Foundry のモデルカタログから選ぶ構成として最も適切なものはどれですか。
- 埋め込み(embedding)モデルを配置し、指示文をベクトル化した結果をそのまま制御コマンドとして扱う
- 最上位の GPT モデルをクラウドにデプロイし、temperature を 0 に設定して応答の遅延を抑える
- Llama の最大規模版のような汎用の大規模言語モデルを端末上で実行する
- Phi ファミリーの小規模言語モデル(SLM)を端末上で実行する
- 音声合成(text-to-speech)モデルだけを配置し、あらかじめ用意した定型応答を再生する
A. 埋め込み(embedding)モデルを配置し、指示文をベクトル化した結果をそのまま制御コマンドとして扱う
埋め込み(embedding)モデルはテキストを意味を表す数値ベクトルに変換するだけのモデルで、検索や類似度比較の前処理に使います。
ベクトルそのものは人間にも装置にも意味の分からない数値列であり、そのまま制御コマンドとして解釈することはできません。
「似た指示文を検索して対応付ける」構成なら成立し得ますが、本文にはその仕組みがなく、指示の解釈を担うモデルとしては不十分です。
B. 最上位の GPT モデルをクラウドにデプロイし、temperature を 0 に設定して応答の遅延を抑える
最上位の GPT モデルは高精度ですが、クラウドに置く時点で「ネットワークが遮断されている間も応答を返す」という要件を満たせません。
temperature は応答のランダムさ(多様性)を制御するパラメーターであって、遅延やレスポンス速度とは無関係です。0 に近づけても通信断は解決しません。
大規模モデルはトークン単価も高く、低コスト最優先という条件にも反します。
C. Llama の最大規模版のような汎用の大規模言語モデルを端末上で実行する
オフラインで動くという点は満たしますが、最大規模の汎用 LLM は数百 GB 級のメモリと複数の GPU を要求するため、電力とメモリの制約が厳しい小型端末では現実的に動きません。
仮に動いても推論が遅く、現場で求められる即応性を満たせません。
「オフライン=とにかく大きいモデルを持ち込む」ではなく、端末の資源に見合うサイズを選ぶのがモデル選定の基本です。
D. Phi ファミリーの小規模言語モデル(SLM)を端末上で実行する
Phi ファミリーは Microsoft が提供する小規模言語モデル(SLM)で、Foundry のモデルカタログから選べます。
パラメーター数を抑えつつ高品質な学習データで訓練されているため、限られた計算資源のエッジデバイス上でも低遅延・低コストで推論でき、オフラインでも動作します。
「短い口頭指示を解釈して操作を切り替える」程度の言語理解であれば SLM の得意領域であり、本問の要件をすべて満たす唯一の選択肢です。
端末への組み込みには、Foundry Local(デバイス上で推論を完結させるローカル実行環境。Azure サブスクリプション不要でオフライン動作)を使うと、端末向けに最適化された Phi などのモデルを動かせます。なお、口頭指示を受け取るには音声をテキストにする音声認識も端末上で行う必要があり、Foundry Local のカタログには音声文字起こし用のモデルも用意されています。
E. 音声合成(text-to-speech)モデルだけを配置し、あらかじめ用意した定型応答を再生する
音声合成(text-to-speech)はテキストから音声を作り出す出力側の技術で、作業員の指示内容を理解する機能は一切ありません。
定型応答を再生するだけでは、口頭指示に応じて操作を切り替えるという要件を満たせません。
入力を解釈する(音声認識・言語理解)のか、出力を作る(音声合成)のかという方向の取り違えを誘う選択肢です。
端末で動かすなら SLM(Phi)、クラウドで賢さ優先なら LLM。制約が厳しい=小さいモデル。
正解への思考ルート
問題文から要件を抽出し、選択肢の適否を判断するのがポイントです。| 要件 | 判断ポイント |
|---|---|
| ネットワーク遮断中も応答を返し続ける(オフライン動作) | 推論を端末上で完結させる必要がある。クラウドにモデルを置く構成は即座に脱落 →選択肢(B)を消す |
| 電力とメモリの制約が厳しい小型端末 | 最大規模の汎用 LLM は数百 GB 級のメモリと複数の GPU が前提で、エッジ端末に載せられない →選択肢(C)を消す |
| 作業員の短い口頭指示を「解釈」して操作を切り替える | 必要なのは言語を理解して意図を判定するモデル。ベクトル化だけ、音声を作るだけでは要件を満たさない →選択肢(A・E)を消す |
| 低遅延・低コストで限られた計算資源上での推論を最優先 | Phi などの SLM(小規模言語モデル)はエッジ推論を狙って設計されており、この 3 条件を同時に満たす →選択肢(D)が正解 |
| モデルの選定は「一番賢いもの」ではなく要件適合で決める | 一般に、用途に対して十分な能力を持つできるだけ小さいモデルを選ぶほど、遅延・コスト・必要な計算資源を抑えやすい →選択肢(D)が正解 |
ひっかけポイント
- 「temperature を 0 に設定して応答の遅延を抑える」はパラメーターの効果を作り変えた記述。temperature が制御するのは応答の多様性・ランダム性であって速度ではない
- 選択肢 C は「端末上で実行する」と書いてあるためオフライン要件だけは満たすが、最大規模版という一語で資源制約に反する。オフラインという単語だけで選ばないこと
- 埋め込みモデルの出力は数値ベクトルであり、検索・分類の材料にはなってもそのままコマンドにはならない
- 音声合成(text-to-speech)と音声認識(speech to text)は入出力の方向が逆。「音声を扱う=正解」と早合点させるのが選択肢 E の狙い
出題バリエーション
同じ知識が本番では条件を変えて出題されます。| 問題文がこう変わったら | 正解はこう変わる |
|---|---|
| 「端末はクラウドに常時接続でき、複雑な推論や長文要約を任せたい」 | 大規模言語モデル(最上位の GPT モデル)をクラウドにデプロイする構成が正解に。 |
| 「社内文書を検索して関連する手順書を探したい」 | 埋め込みモデル+ベクトル検索(RAG)が正解軸に。 |
| 「作業員の音声そのものを文字起こしして記録したい」 | 音声認識(speech to text)が正解に。 |
| 「システムが手順を読み上げて案内したい」 | 音声合成(text-to-speech)が正解に。 |
| 「画像も含めて写真の内容について質問したい」 | マルチモーダルモデルの選定が正解軸に。 |
リファレンス
この問題を解くために必要な知識を扱う公式ドキュメントです。| 知識項目 | 公式ドキュメント |
|---|---|
| 端末上でのオフライン推論(Foundry Local のモデル カタログに Phi などのチャット モデルと音声文字起こしモデル) | Foundry Local とは - Foundry Local |
低遅延・低コストで、限られた計算資源の上で推論できることを最優先するとき、Foundry のモデルカタログから選ぶ構成として最も適切なものはどれですか。
- 埋め込み(embedding)モデルを配置し、指示文をベクトル化した結果をそのまま制御コマンドとして扱う
- 最上位の GPT モデルをクラウドにデプロイし、temperature を 0 に設定して応答の遅延を抑える
- Llama の最大規模版のような汎用の大規模言語モデルを端末上で実行する
- Phi ファミリーの小規模言語モデル(SLM)を端末上で実行する
- 音声合成(text-to-speech)モデルだけを配置し、あらかじめ用意した定型応答を再生する
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