AWS認定資格 WEB問題集&徹底解説セキュリティ専門知識(SCS)
AWSサービスの一つであるAWS Resilience Hubはどんな内容なのでしょうか?また、AWS認定資格のセキュリティ-専門知識(SCS)に合格するためには、サービスのどんなポイントを押さえておけばよいのでしょうか?
ここでは、そんなあなたの疑問に回答していきたいと思います
1. サービス概要
AWS Resilience Hubは、AWS 上のアプリケーションの回復性(障害から決められた時間内に復旧し、データ損失を許容範囲に抑える能力)を、目標の定義 → 評価 → 改善 → テストのサイクルで継続的に管理するサービスです。 復旧時間目標(RTO)と復旧時点目標(RPO)をポリシーとして定め、アプリケーションを構成するリソースの設定から「障害時に目標を達成できる見込みか」を評価します。
評価はリソースの構成情報を基に行い、障害を注入しません。そのうえで構成の改善案に加え、障害を検知するアラーム、復旧手順(SOP)、AWS FIS による障害注入テストといった運用面の推奨も提示します。評価の考え方は AWS Well-Architected フレームワークの信頼性の柱に基づいています。 DOP-C02 では回復性の高いソリューションの管理、SCS-C03 ではインシデント対応計画の有効性の検証(タスク 2.1)で扱われます。 なお 2026年には、生成 AI による障害モード評価や「システム / ユーザージャーニー / サービス」の階層を導入した次世代版も提供されていますが、本ページは試験で前提となるアプリケーション単位のモデルを中心に解説します。
2. 主な特徴と機能
2.1 アプリケーションの定義と入力ソース
評価対象を「アプリケーション」として登録します。リソースは CloudFormation スタック、Terraform のステートファイル(S3 に保存したもの)、AWS Resource Groups、AppRegistry のアプリケーション、Amazon EKS クラスターなどから取り込めます。 取り込んだリソースは、一緒に動き一緒に障害を起こす単位であるアプリケーションコンポーネント(AppComponent。例: プライマリ DB とレプリカ)にまとめられます。
2.2 レジリエンスポリシー
ポリシーには、障害の種類ごとに RTO / RPO を設定します。種類はアプリケーション(デプロイ不良や設定ミスなどソフトウェア側の障害)、クラウドインフラストラクチャ、アベイラビリティーゾーン(AZ)、リージョンの 4 つです。 業務の重要度に応じた推奨ポリシー(ミッションクリティカルなど)も用意されています。
2.3 レジリエンス評価とスコア
評価では、アプリケーションが達成できる見込みの RTO / RPO(推定ワークロード RTO / RPO)を算出し、ポリシーを満たすか(Policy met / Policy breached)を判定します。未達の場合は、どの AppComponent が原因かがコンポーネント単位で示されます。 改善策はコスト重視・回復性重視など複数の選択肢で提示されます。レジリエンススコアは、ポリシーへの適合に加えて、推奨したアラーム・SOP・テストの実装状況も反映した総合指標です。
2.4 運用面の推奨(アラーム・SOP・FIS テスト)
評価結果から、障害を検知する CloudWatch アラーム、Systems Manager Automation ドキュメントとして実装された SOP、AWS FIS の実験を推奨します。 必要なものを選ぶと CloudFormation テンプレートとして出力でき、アプリのコードベースで IaC として管理・デプロイできます。既定の SOP を複製して自社用に拡張することも可能です。
2.5 定期評価とドリフト検出
毎日の自動評価を有効にでき、前回はポリシーを満たしていたコンポーネントが満たさなくなった(ポリシードリフト)場合や、入力ソース内のリソースが増減した(リソースドリフト)場合に検出します。ドリフトの通知先には SNS トピックを指定できます。
2.6 CI/CD への組み込み
評価の開始と結果取得は API で行えるため、デプロイパイプラインに評価ステージを置き、ポリシー違反ならリリースを止める運用ができます。
3. アーキテクチャおよび技術要素
- アプリケーションを作成し、CloudFormation スタックなどの入力ソースからリソースを取り込む。
- 取り込まれたリソースと AppComponent の分類を確認し、必要なら修正してアプリケーションのバージョンを公開する。
- 障害の種類ごとの RTO / RPO を定めたレジリエンスポリシーをアタッチする。
- レジリエンス評価を実行し、推定 RTO / RPO、ポリシー違反のコンポーネント、改善策、運用面の推奨を確認する。
- 構成を改善し、推奨されたアラーム・SOP・FIS 実験を CloudFormation でデプロイする。
- FIS 実験で検知と SOP が機能することを確かめ、毎日の自動評価とドリフト通知で状態を維持する。
Resilience Hub 自体はフェイルオーバーやレプリケーションを行いません。実際の復旧は AWS Backup、AWS Elastic Disaster Recovery、Amazon Application Recovery Controller、各サービスのマルチ AZ / クロスリージョン機能が担い、Resilience Hub はそれらが目標を満たす構成になっているかを評価します。
4. セキュリティと認証・認可
- アクセス用ロール: Resilience Hub はリソースの構成を読み取るために IAM ロール(呼び出し元ロール)または現在の IAM ユーザーの権限を使う。読み取り中心の権限で評価でき、リソースを変更しない。
- クロスアカウント: 他アカウントのリソースを含めるには、各アカウントに Resilience Hub が引き受けるロールを用意する。
- 通知の分離: ドリフト通知は別アカウント(例: セキュリティ運用アカウント)の SNS トピックへ送る構成にでき、トピックのアクセスポリシーで発行を許可する。
- 暗号化と監査: 保存データはサーバー側で暗号化され、他サービスとの通信は TLS で保護される。API 呼び出しは CloudTrail に記録される。
- インシデント対応計画: 評価・SOP・FIS テストを組み合わせ、対応計画が実際に機能することを証跡とともに示せる。
5. 料金形態
- アプリケーション単位の課金: 評価したアプリケーション 1 つにつき月額 15 USD。最初のレジリエンス評価を実行した時点から課金が始まり、アプリケーションを削除すると止まる。
- 無料トライアル: 最初に評価した 3 つのアプリケーションは 6 か月間無料。
- 次世代版: サービス単位の課金(月額+評価量に応じた料金)で、依存関係評価などはオプション。
- 別途かかる費用: 推奨されたテストを実行する AWS FIS(アクション分課金)、デプロイしたアラーム、Systems Manager、CloudFormation で作成したリソースなどは各サービスの料金に従う。
6. よくあるアーキテクチャ・設計パターン
- DR 計画の妥当性確認: 経営層が承認した RTO / RPO をポリシー化し、構成から達成見込みを評価してギャップを是正してから、FIS でゲームデーを行う。
- リリースゲート: パイプラインで評価を実行し、ポリシー違反なら本番ステージへ進めない。
- 継続監視: 毎日の自動評価とドリフト通知で、レプリケーション設定の削除など気づきにくい回復性の劣化を検出する。
- 運用準備の IaC 化: 推奨されたアラーム・SOP・テストをテンプレートとして出力し、アプリのリポジトリでレビューしてデプロイする。
- ポリシーの標準化: 業務の重要度ごとにポリシーを用意し、全アプリに一貫した目標を適用する。
7. 設定・デプロイ手順(ハンズオン例)
- Resilience Hub コンソールで「アプリケーションを追加」を選び、対象の CloudFormation スタックを入力ソースに指定する。
- 取り込まれたリソースと AppComponent を確認し、アプリケーションを公開する。
- レジリエンスポリシーを作成し、アプリケーション / インフラ / AZ / リージョンの各 RTO / RPO(例: AZ 障害は RTO 1 時間・RPO 15 分)を設定してアタッチする。
- 評価を実行し、推定 RTO / RPO と違反コンポーネント、改善策を確認する。
- 運用面の推奨からアラーム・SOP・FIS 実験を選んで CloudFormation テンプレートを生成し、スタックとしてデプロイする。
- 毎日の自動評価を有効にし、ドリフト通知先の SNS トピックを設定する。
8. 試験で問われやすいポイント
8.1 サービス選択
- Q: 本番に障害を注入せずに、現在の構成が RTO / RPO 目標を満たすかを評価したい場合は?
A: AWS Resilience Hub でポリシーをアタッチしてレジリエンス評価を実行する。 - Q: 実際に障害を起こして復旧時間を計測したい場合は?
A: AWS FIS を使う。Resilience Hub はその実験を推奨・生成する役割。 - Q: Resilience Hub で DR のレプリケーションやフェイルオーバーを実行できる?
A: できない。復旧の実行は Elastic Disaster Recovery、AWS Backup、ARC などが担い、Resilience Hub は評価と推奨を行う。
8.2 ポリシーと評価
- Q: AZ 障害とリージョン障害で異なる復旧目標を設定するには?
A: レジリエンスポリシーで障害の種類(アプリケーション / インフラ / AZ / リージョン)ごとに RTO / RPO を設定する。 - Q: どの構成要素が目標未達の原因かを特定するには?
A: 評価レポートの AppComponent ごとのポリシー準拠状況と推定 RTO / RPO を確認する。 - Q: レジリエンススコアには何が反映される?
A: ポリシーへの適合に加え、推奨されたアラーム・SOP・テストの実装状況。
8.3 継続的な検証
- Q: 頻繁なリリースで回復性が気づかないうちに劣化するのを防ぐには?
A: 毎日の自動評価を有効にし、ドリフト通知を SNS トピック(別アカウントのものも可)へ送る。 - Q: 復旧目標を満たさないビルドを本番へ出さないようにするには?
A: パイプラインに Resilience Hub の評価ステージを追加し、ポリシー違反ならパイプラインを失敗させる。
8.4 運用面の推奨
- Q: 復旧手順を実行可能な形で IaC 管理し、障害注入で検証したい場合は?
A: 運用面の推奨からアラーム・SOP(Systems Manager Automation)・FIS 実験を選び、CloudFormation テンプレートとして生成・デプロイする。 - Q: 既定の SOP に自社固有の手順を加えたい場合は?
A: 既定の Automation ドキュメントを複製して拡張する。 - Q: Resilience Hub の課金単位は?
A: 評価したアプリケーション単位の月額(次世代版はサービス単位)。FIS テストは別料金。